ニュージーランド最大の都市オークランドでは、街の中心部をサークル状に運行する地下鉄"City Rail Link"のオープンに向け、急ピッチで工事が進められています。
ニュージーランド初の地下鉄、そして歴史的再開発ということもあり、国民のみならず世界が注目している都市部地下鉄事業。
既存駅2つの再開発に加え、都市中心部の地下に新駅2つを開業するビックプロジェクトです。
開業予定は2024年と、もうすぐそこ!
3年後には、シティの様子はガラリと様変わりすることに間違いありません。
今回はこのプロジェクトの概要、そして工事の進捗の様子を現地写真と共にレポートしていきます。
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目次
2024年開業!City Rail Link構想とは
"City Rail Link"はオークランドのシティセンター(中心部)に開通する地下鉄構想。
オークランドの市内中心部の下、Britomart(ブリトマート)駅からMt Eden(マウント イーデン)駅の間に3.5 kmの長さの複線鉄道トンネルを建設することからなる44億ドルのビッグプロジェクトです。
日本と同じくらいの国土に、500万人しか住んでいないニュージーランドですが、その人口は最大都市オークランドに集中(165万人)しており、以前より交通インフラが問題視されていました。
というのも、オークランドの公共交通機関はバスが中心。
電車も走っているのですが、あまり便利なものではなく(そもそも、30分に1本の運行であったり)
日本のように通勤・通学で利用するイメージとは少しかけ離れています。
しかし、人口が増え続けるニュージーランド。
車社会であるがゆえ、慢性的に渋滞が発生。
さらにシティ(中心部)では、駐車場不足や料金の高騰などが市民の悩みの種となっています。
特にノース方面へとつながるハーバーブリッジの通勤・通学時の渋滞はひどく、レーン拡張を繰り返しつつも人口増により追いつかない状態です。
ノースショアからハーバーブリッジを走る様子はこちらの動画から。
【動画】【ニュージーランド|オークランド】車窓からの眺め。ノースショア方面〜ハーバーブリッジを渡って
撮影時はスムーズでしたが、通勤・通学時は、渋滞で動かない時も...
そんな様々なインフラ問題を抱えていましたが、環境ファーストの国民性もあり、何度も浮上しては立ち消えていた「鉄道構想」
すでに100年以上(!)も議論されていたこの構想が、何と3年後に実現することに。
それが、City Rail Linkです!
シティーセンター(CBD)に地下鉄が!
City Rail Linkは、市内中心部のアルバートストリートに地下鉄を通し、サークル状に開通させる構想。
起点は、現在シティーへの終着駅であるBritomart(ブリトマート)駅と、Western線のMt Eden(マウント イーデン)駅です。
新駅一覧
既存駅 | Britomart(ブリトマート)駅 | 再開発中 |
新駅 | Aotea(アオテア)駅 | Wellesley Street, Victoria Streetの間あたり地下15m |
新駅 | Karangahape(カランガハペ)駅 | Beresford Square の Mercury Laneあたり |
既存駅 | Mt Eden(マウント イーデン)駅 | 再開発中 |
--City Rail Link official より要約
新駅はこの辺りに誕生。
Britomart駅からMt Eden駅を繋げることで、Western Lainに接続し、環状運行が可能に。
終点駅となっていたBritomart駅は、City Rail Line開業後は途中駅となります。
都市中心部の開発ということで、用地買収にはかなりの時間と予算を費やしました。
中でも点線で示したMt Eden(マウント イーデン)駅周辺は住宅地が多く、騒音問題などに対する住民の反発などもあり、かなり難航したそう。
地下鉄工事のため、市内中心部はアルバートストリートを中心に通行止めや迂回などの交通整備が行われています。
それでは、工事現場の様子を見てみましょう。
Britomart(ブリトマート)駅の様子
こちらは現在もオークランドの玄関口であるBritomart駅の2020年1月の工事現場の様子。(筆者撮影)
現在は終着駅となっていますが、City Rail Linkでは、通過駅となります。
電車の窓の部分から工事現場を見ることができる、粋な計らい。
基礎工事が行われていたところです。
Britomart駅の再開発の様子も掲示されていました。
ここから、次駅の新駅"Aotea(アオテア)駅"へのアクセスは3分程度とのこと。
右手に見える工事中のビルは、旧ダウンタウンショッピングセンター跡地に建設された、Commercial Bay(コマーシャルベイ)
Commercial Bayとは
39階建てのモダンな高層ビル。
1階〜3階(日本でいう4階)まではショッピングやフード・レストランの商業エリア、上層階にはビジネスオフィスが入っています。
撮影当時は工事中でしたが、駅の開業より先の2020年6月にオープン。
オークランドの新名所として、連日たくさんの人が訪れる人気スポットです。
元々は、City Rail Linkも2020年〜2021年の開業予定でしたが、2024年と遅れてています。
コロナの影響もあり、2025年にずれ込むのではという噂も...
City Rail Linkが開業すれば、Commercial Bayは駅ビルとしても機能することに。
さらなる人の流動が見込まれるでしょう。
【新駅】Aotea(アオテア)駅の場所
Aotea(アオテア)駅はWellesley Street, Victoria Streetの間の地下15mあたりに設置。
メイン駅舎はWellesley Street沿いに誕生します。
-- City Rail Link official より画像引用
オークランドのランドマークであるスカイタワーのほど近くにあり、メインストリートであるクイーンストリートに通じる出口も誕生。
オークランド大学、オークランド工科大学と2つの大学の最寄駅でもあります。
シティーのほぼ中心に位置するため、開業すれば現在のメイン駅であるBritomart駅より利便性は高く、通勤・通学・観光全ての拠点駅となることが予想されます。
2020年12月撮影のVictoria stを北方面に見たストリートビューの様子です。
この画像の左手にスカイタワーがあります。
この辺りに作られる入り口のイメージパース。
2020年12月のWyndham stから北方面の様子です。
道路は完全に封鎖され、工事をしている様子が映っています。
Aotea駅はアクセスの良さから、今後はオークランドの新たなメイン駅となること間違いなし。
そして街のさらなる発展のきっかけとなることでしょう。
【新駅】Karangahape(カランガハペ)駅の場所
Karangahape(カランガハペ)通りは、通称"Kロード"と呼ばれている、古着で有名なスポット。
個性的なショツプが立ち並ぶ様子は、ニューヨークのイーストビレッジやロンドンのカムデンのような空気感の場所といえば想像がつくでしょうか。
1900年〜1960年代までは、オークランドで最も栄えたショッピングストリートで、その規模は、現在一番の繁華街であるクイーン ストリートをしのくほどだったそう。
-- City Rail Link official より画像引用
Karangahape駅はMercury Laneあたりと、Beresford Squareに入り口が設置されます。
Mercury Laneのメイン駅舎のイメージパース
ビルの間に建設され、都会的な雰囲気です。
2020年12月に撮影されたBeresford Squareストリートビューの様子はこちら。
画面の右側に入り口ができるようです。
メインストリートであるKarangahape Rodeは商店が立ち並ぶショッピングストリート。
用地の取得が難しかったのか、1ブロック北側に建設されるようです。
-- City Rail Link official より画像引用
ちなみにKロードは、以前はあまり治安の良いところではありませんでした。
理由は...
1990年代にストリップクラブや売春宿、アダルトショップが立ち並んだことが治安悪化の原因。
以前は150店舗以上の上記関連ショップがあり、夜は売春婦が立つことでも有名でしたが、現在は8店舗しかなく、以前に比べ、治安は改善されているよう。
現在のKロードは、いわゆる「個性的なヒップタウン」
ゲイバーやナイトクラブが立ち並び、若者の集まるクリエイティブな場所に。
地下鉄ができることでアクセスが増し、さらなる発展が期待できます。
一度ついたイメージの払拭は難しく、いまだにKロードに悪いイメージを持つ人も多いよう。
地下鉄の駅ができることにより、イメージアップ効果にも期待です。
最後に|合わせて読みたい
以上、進化の発展が目覚ましい、オークランドの地下鉄構想City Railk Linkについてでした。
ちなみに、City Rail Linkプロジェクトは都市中心部だけではなく、将来的には鉄道未開拓のノース方面へやオークランド空港へのアクセス線も構想されています
2024年に開通し、人々が利便性を実感すれば構想が現実へと一気に加速するのではというのが筆者の予想。
そうなれば、オークランドの利便性は一気に向上するだけでなく、車を持たない生活という選択肢が増えることにより、移住者や留学生のますますの増加にもつながります。
この歴史的な地下鉄の開通は、2024年とすぐそこ!
鉄道網の発達は、都市化へのきっかけ。
進化の発展が目覚ましく、そしてまだまだ発展途上のオークランドから目が離せません。
と言いつつ、車で30分も走ればまだまだのどかな風景が広がります。
都会的な生活もしたい、しかし自然豊かな中でも暮らしたい!というデュアルライフを叶えるのには、最適な街かもしれません。
---参考:
City Rail Link official website(英語)