昨今の円安により、ワーキングホリデーでの出稼ぎ労働がブームと報道されている今日この頃。
確かに、ニュージーランドの最低時給は日本の2倍。
「月にウン十万稼げた!」などの情報もSNSに溢れていますが、渡航したものの仕事が見つからず困っている人が多いのが現実です。
実はNZでの仕事探しは、現地育ちのキウイ(ニュージーランド人)でも難儀しているほど。
今回は「海外就職のリアル」と題し、ニュージーランドの就職事情の現実を現地就職を目指している方向けに、在住者視点で書き綴ります。
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目次
人口500万の1/3がオークランドに集中
仕事探しが困難な理由に、人口1億人超えの日本とは圧倒的に有効求人数が違うことが挙げられます。
そもそもニュージーランドの人口は530万人。
その1/3である170万人がオークランドに一極集中し、2番目に都市人口のあるウエリントンは一気に下がり54万人。
4位以降の都市は20万人を切る非常にバランスの悪い状態となっています。
都市部の人口規模ランキング(データは2024年)
日本 | 総人口1億2000万人 | ニュージーランド | 総人口530万人 | |
1位 | 東京23区
(東京都) |
970万人 | オークランド
(北島オークランド地方) |
170万人 |
2位 | 横浜市
(神奈川県) |
370万人 | ウエリントン
(北島ウエリントン地方) |
54万人 |
3位 | 大阪市
(大阪府) |
270万人 | クライストチャーチ
(南島カンタベリー地方) |
40万人 |
4位 | 名古屋市
(愛知県) |
230万人 | ハミルトン
(北島ワイカト地方) |
18.5万人 |
5位 | 札幌市
(北海道) |
190万人 | タウランガ
(北島ベイ・オブ・プレンティ地方) |
15.8万人 |
6位 | 福岡市
(福岡県) |
160万人 | ネイピア&ヘイスティング
(北島ホークスベイ地方) |
14.8万人 |
7位 | 川崎市
(神奈川県) |
150万人 | ダニーデン
(南島オタゴ地方) |
13万人 |
--ニュージーランドのデータ引用先:New Zealand’s Biggest Cities 2024
--日本のデータ引用先:日本の市の人口順位2024
※ニュージーランドの都市人口は市単位ではなく地域全域の人口数。
また、ニュージーランドの都市人口を日本の同じ人口規模の都市に当てはめると以下となります。
(※カッコ内は国内での都市人口順位)
オークランド | 170万人(1位) | 福岡市(福岡県) | 160万人(5位) |
ウエリントン | 54万人(2位) | 姫路市(兵庫県) | 53万人(32位) |
クライストチャーチ | 40万人(3位) | 宮崎市(宮崎県) | 40万人(56位) |
ハミルトン | 18.5万人(4位) | 和泉市(大阪府) | 18.4万人(149位) |
タウランガ | 15.8万人(5位) | 大垣市(岐阜県) | 15.8万人(172位) |
ネイピア&ホークスベイ | 14.8万人(6位) | 狭山市(埼玉県) | 14.8万人(184位) |
ダニーデン | 13万人(7位) | 我孫子市(千葉県) | 13万人(213位) |
そのため、大手企業のほとんどがオークランドやウエリントンに集中。
それ以外の都市では、中小企業(ローカルビジネス)を中心に、工場や農業、観光業がメインとなっており、地方都市での専門分野での就職先探しは困難を極めます。
ちなみに、クイーンズタウンは年間100万人の観光客が訪れますが、人口は約4万人です。
「新卒」は単純に「経験がない」とみなされる
就職のプロセスも日本と大きく違い、皆が同じ時期に就職活動を始める「就活文化」ががなく、就職の時期もばらばら。
合同説明会や就職セミナーのようなものは開催されないため、自分の力で就職先を探さなければいけません。
逆にいうと、在学中に内定→4月に一斉入社という流れや、新卒ブランドは日本独特のとも言えるでしょう。
また、先に述べた通り国内には大企業が少なく、ほとんどが中小企業。
大手への就職となると外資系がメインとなってきます。
カフェやレストランでさえニュージーランド企業で国内にチェーン展開しているお店は少なく、見かけるのもシティ中心部やフードコートくらい。
個人経営のお店は余計な経費を抑えるため人を雇うことに慎重なため、アルバイトでさえも狭き門となっています。
潤沢な資金のない中小企業では、雇う側もかなりシビア。
即戦力である経験者を欲しがるため新卒採用はスタンダードではなく、逆に「単純に経験がない」とネガディブに捉えられます。
また、NZでは日本のように「正社員」と「アルバイト」のような明確に区別のある表現がなく、8時間働くならフルタイム、数時間ならパートタイムと言います。
繋ぎで働いていているアルバイトでも、周りからはその職種に就職したとみなされるため、なんだか肩身の狭い思いをするのもNZあるある。
インターンシップや海外経験で経験値を稼ぐ
このような文化の違いにつまづく日本人が多いようですが、実はキウイたちも同じ。
「経験がないから就職したい」「けど経験がないから雇ってもらえない」という状態にお手上げになっているのも事実。
そのため、大学在学中に積極的に取り入れるのがインターンシップ。
企業もインターンであれば比較的受け入れてくれやすく、経験を積むことでCV(履歴書)に即戦力のアピールをすることができ、認められればそのまま就職というパターンも望めます。
そもそもニュージーランドを含む欧米圏では一つの会社で定年まで勤め上げるという考え方ではなく、より良い条件の会社への転職ありき。
新卒ですぐに希望の会社へ就職というよりは「何歳までにはこのボジジョンでこの年収を得たい」と目標を持ち、それを叶えるためにはどうキャリアアップしていくかという逆算をしながら人生プランを練ります。
そのため、卒業後はすぐに就職せず、海外へ経験を積んだり視野を広げるために渡航するのも一般的で、これをニュージーランドではOE(オーイー:Overseas Experience)と言います。
OEは履歴書にも非常に良い効果をもたらすものとされており、積極的に行う人が多いです。
ちなみに、OEはニュージーランド独自の表現(スラング)です!
NZはびっくりするほどのコネ社会
新卒一括採用制ではないニュージーランドでは、ポジションが空けば人材を募集するという形が一般的。
募集は主に情報サイトで行われますが、大手企業であれば他社の優秀な人材をヘッドハンティングしたり、ビジネス特化型SNSでのスカウトなど、内々で決定してしまうことも。
また、ニュージーランドで一番多いのが社員紹介制度。
これは、「このような人材(ポジション)を募集しているが、知り合いに当てはまる人はいないか?」と社内で募集を募り、採用が決まれば紹介者には報酬金(ボーナス)が支払われるというもの。
つまりは、コネ採用です。
紹介者は自分の責任問題にもなるため信頼ある人物を紹介しますし、またボーナスを得るために話が通りそうな人にアプローチをかけるため、企業としても採用の手間が省けるというわけです。
ニュージーランドのコネ採用はキウイ達にとっても周知の事実。
そのため、いろんな集まりやパーティーに顔を出し、友人の輪を広げることもこの国では必要なスキル。
逆に言えば、コネ(と経験)さえあればニュージーランドでの就職はイージーモードとも言え、実際に筆者の友人は転職活動中5人から社内紹介制度で声をかけられたそう。
また、企業やOBが大学の教授に相談し、そこから声がかかることも多いよう。
授業への出席態度や成績も就職へとつながる重要な要素となっています。
優秀な人材の国外流出に頭を悩ませるNZ政府
では、コネがなく、就職先が見つからない場合はどうするのか。
①自分でビジネスを始める
②国外へ就職する
ほとんどがこの2つのどちらかのパターンに分かれます。
ニュージーランドでは大学卒業後に親元を離れて自立するのがスタンダードですが、インフレも合間って家賃が驚くほど高騰。
また都市部でさえマンションが少なく、1人暮らしに適した物件も少ないため、近年はOEではなく職を求めて国外に出てしまうパターンがほとんど。
中でもオーストラリアはNZ国籍を保有していてば働くことが可能なので、距離も近いことも相まって就職先探しの人気国となっています。
NZ政府も優秀な人材の国外流出に頭を悩ませており、大学卒業後に国外就職した場合、奨学金の利息を引き上げるなどの措置を取っているほど。
ニュージーランドで職をさがすなら(一覧)
今回はニュージーランドに住むニュージーランド人の就職事情でしたが、いかがでしたでしょうか。
日本人を含めた外国人のNZ就活事情は【ニュージーランドの就職事情】外国人が仕事を探す難しさ。就労ビザが取りにくい理由とは?にまとめたので合わせてご覧ください。
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最後に、ニュージーランドでの職探しで現地で活用されている方法をまとめました。
フェイスブック
日本ではあまり使われていませんが、ニュージーランドのSNSはフェイスブックが一般的。
様々なコミュニティページもあり、仕事情報も多く掲載されています。
また、通信アプリにLINEを使っている人はおらず、フェイスブックのメッセンジャーが一般的なので、渡航前にアカウントを作成しておくといかもしれません。
就職掲示板
ローカル向けの求人情報であればSeekが有名です。
フルタイム(正社員)から、カジュアル(アルバイト)まであらゆる職種を探すことができます。
▶︎seek.com
Trade meはNZ最大のクラシファイド掲示板。
仕事のみならず、賃貸アパートやフラットシェア、売ります・買いますなど様々な情報が掲載されています。
▶︎trade me
インターンシップ
NZの現地コネクションがない方は、インターンシップ斡旋会社を利用するのも手です。
Gina & PartnersはNZ現地各地に支店を持つ日本人向けのエージェントで、できる限り相談者の希望に沿ってインターン先を探してくれます。
ワーホリビザが使えない人も「職業体験(無給)」という形での参加も可能。
サポートは全て日本語で行われるのも大きなメリットです。
▶︎Gina & Partners:インターンシップ(日本語ページ)
▶︎Gina & Partners:無料相談お問い合わせフォーム
※「ニュージーランドのまるごとを見た」と本文に明記いただくとスムーズです。
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